<魚食にっぽん[85]>検証・底引き混獲魚は宝の山

2018年2月26日

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分類図鑑を見ながら種の同定を行った

 底びき網漁業は漁法の特性上、狙った魚介類以外も網に入りやすい。「利用価値がない(低い)」と、漁獲後直ちに海へ戻されることで、世に知られていない魚も多いが、それを無用な生物と決めつけるのは性急過ぎる。底びき網で獲れた漁獲物のうち、出荷した残りの魚介類すべてを眺め、触って、食べてみる「深海ギョッチ」という企画が今月、都内で開かれた。
 この日の素材は、新潟県糸魚川市の小型底びき網漁船が水深300メートル周辺でマダラを狙った網の混獲物で、ヒトデやイソギンチャク、流木や岩も混じっている。正真正銘、獲れた物すべてだ。
 多くが「長い」「丸い」としか表現できなかった。似た者同士で分類すると、少しずつ食材に見えてくる。細長くゼラチン質の体が特徴的なゲンゲも、複数の種類が混じり、分けて丁寧に並べると、日本海沿岸の魚売場に見えなくもない。主催した「さかなの会」のながさき一生代表ら魚に精通したスタッフの解説で仕分けが進んだ。名前の分かるものは、順に食べてみた。揚げれば大体が間違いない。
 「お金が取れる味」と評価された魚は非常に多い。それ以上に、未知なる魚を触って、食べた参加者が「ドキドキ、ワクワクした」と、総じて楽しんでいたことに驚いた。[....]