<魚食にっぽん>[90]/「すしテレポーテーション」注目

2018年7月30日

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カウンターの向こうは職人ではなくロボット

 日本の一流寿司職人が握る寿司を瞬時に遠く離れた異国で食べられるとしたら…。非現実的なようなことが近い将来、現実になるかもしれない。今春米国で開かれた最先端技術などをアピールする展示会で、日本発の“すしテレポーテーション(転送寿司)”が紹介された。まだ現実の世界ではないが、未来の食シーンが大きく変わるかもしれないこの新技術、低迷する魚食文化の救世主にもなるかも?
 米国テキサス州オースティンで開かれたSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)展示会は、世界中のベンチャー企業があらゆるジャンルの新しいテクノロジーを発表する場。“すしテレポーテーション”はわずか2畳程度のスペースで紹介され、驚愕(がく)したメディアや来場者による情報発信で、瞬く間に世界で注目されることになった。
 食のテレポーテーションを実現させるため「オープンミールズ構想」を発案したのは、電通のアートディレクター榊良祐氏。「印刷には欠かせない色分解の概念を再構築して再現できないか? それが人類にとって重要な食ではないか」と思ったという。「SSSB(ソルティー、サワー、スイート、ビター)を味のカートリッジに入れ、食べられる紙に印刷すればいろいろな味が再現できる」ゲルを使って3Dプリンティングを研究している山形大学の古川研究室の協力を得て、実現を目指す。[....]