<海域環境保全に求められる新視点>海生研シンポジウム

2017年9月8日

フロアからも質問

 火力発電所の新設・建て替えや、洋上風力発電施設の建設、海底下の地層に二酸化炭素を貯留するCCSの実証試験など、近年は沿岸海域の開発が多様化し、利用も増えている。海洋生物環境研究所(海生研、香川謙二理事長)は設立以降、蓄積してきた魚類の「行動」に関する知見の活用で、海洋の開発と環境保全の両立の可能性を探るシンポジウムを8月31日に開催した。

 話題提供者にフロアの参加者も交えた総合討論では、海洋開発や環境保全を進めるうえで必要な生物行動の調査研究、あるいは求められる方向性について意見が交わされた。

 長谷川一幸主査研究員は「夜間に行動する生き物について、昼間の調査だけでよいものか。行動の特性を考えないと、環境保全にはつながらないのでは」と疑問を呈する。三浦雅大グループマネージャーも「直接そこにすまなくても、重要な回遊ルートかもしれない」とし、特に移動能力の大きな生物について、一側面だけの判断を危惧した。[....]