<女性のチカラ>中嶋麻緒さん、セリ場で唯一の女性

2019年4月5日

よいマグロと出合う瞬間は格別と瞳を輝かせる中嶋さん

 東京・豊洲市場のマグロ仲卸「樋長」で働き始めて2年になる。生鮮のキハダ、メバチ、インドマグロ(ミナミマグロ)の担当で、生鮮マグロのセリ場では唯一の女性だ。「下付け(魚の状態を確かめる)している時も、買ったマグロがよくて『やっぱりこれだ!』と高揚感を感じる時も楽しくて仕方がない。この仕事に就けてありがたいし、幸せに思う」と明るいエネルギーをあふれさせている。

 祖母が築地市場の「樋長」の隣で仲卸を営んでいた縁から同社で働き始めた。最初の1か月の仕事は布巾ゆすぎ。布巾を洗いながら社長や先輩の背中を見て、マグロを切る姿が「かっこいい」と憧れた。1か月後に正社員になり、作業台でマグロを拭いたり包んだりする仕事を任された。

 「作業台はマグロ屋しか上がれないと思っていたので、自分がやらせてもらえるとは思わなかった。とにかく必死で夢中だった。河岸で働いていた曽祖父や祖父と一緒に立っているようでうれしかった」。

 1年後、セリ場で下付けを手伝うようになった。

 仲卸の仕事は「自分で考えて自分で行動して、ガンガンやろうぜ! というのが通用するところが好き」。目標は「魚にもお客さんにも思いをもって、売る力をつけていきたい」と未来を見据える。[....]