魚食にっぽん[87]/日本初、池袋に「くさやバー」

2018年4月23日

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バーの定番メニューを紹介するオーナーの加藤さん

 都内のJR池袋駅から歩いて5分の駅近に昨年暮れ、伊豆七島の特産「くさや」をメインにした日本初のバー「AIGAE KUSAYA BAR」がオープンした。八丈島からの進出を果たした、オーナーの加藤幸さん(藍ヶ江水産社長)は「一般消費者とくさやとの間にある“敷居”を取り払いたい」と思いを語る。
 41歳の加藤さんは八丈島に魅せられ若くして当地に移住し、現地の飲食店で働きつつ生計を立ててきた。今から10年前、島内でも古株のくさや業者が廃業を決めたと聞きつけ、数百年の歴史があるくさや液ごと買い取り、日本の伝統的発酵食の世界に飛び込んだ。くさやには「臭い」のマイナスイメージが先に立つ。しかし、加藤さんは「脂の薄い生の地物を使うので、うま味が強くて臭いもあまり目立たないのが八丈産くさやの特徴」と解説。島の生産量の減少傾向が続く中で、気軽につまめる「くさやチーズ」(チーズの中にムロアジのくさやを約40%練り込んだ商品)を開発したのを足掛かりに、約5年かけて首都圏エリアの酒屋200軒にくさやの新たな販路を広げてきた。
 「臭いのマイナスイメージさえ克服ができればファンはつかめる」。加藤さんは、居酒屋・バーの定番メニューとなり得る可能性を実証するために、くさやバーの構想を実現に移した。通常品やくさやチーズ以外にも、くさやアヒージョ、くさやピザ、くさや焼きおにぎり茶漬けなどを提供。濃厚なうま味とクセになる味がビールや洋酒にピタリとハマる。[....]