養殖マグロ、「音響カーテン」通過させ尾数正しく算出

2017年7月14日

マルチ送受波ソナーによる「音響カーテン」の概念図

 水産研究・教育機構水産大学校の濱野明名誉教授らでつくる産官学の研究チームは、養殖イケス内の一断面を音波で仕切る「音響カーテン」により、マグロの尾数を数えるシステムを開発した。通過した尾数とマグロの行動特性からイケス内全体の尾数を割り出す。非接触の計数で、水の濁りや太陽光線の影響を受けない。科学的根拠に基づいた尾数計数法になると期待されている。

 「音響カーテン」は、フュージョン社(東京都、笹倉豊喜社長)が新たに開発した「マルチ送受波ソナー」(460キロヘルツ)を用いて、扇形に配置された15個の送受波器(ビーム幅5度)から超音波を発射して、一断面を仕切る仕組み。周回するマグロを面に通過させることで、見落としなく数える。このデータを基に、単位時間当たりの通過尾数を求め、積算して総尾数を推定する。

 計数の実証実験は豊洋水産(大分県、中嶋新一社長)の養殖場で今年2月に行われた。中間報告からの推定では1、2尾の誤差にとどまる見通しで、来年4月以降に実用化を目指す。[....]