震災後の新乗組員100人突破、宮城北部でPJが奏功

2018年3月9日

感謝を込めて漁船を見送る気仙沼の「出船おくり」

 宮城県北部船主協会が受け入れた若手船員が、東日本大震災の発生後から数えて今春に100人を突破して103人になり、所属する遠洋および近海のカツオマグロ漁船に乗船する。今年度は高卒者9人が乗船を予定しており、前年度の高卒者2人から一気に増加した。船員紹介業務を担当する吉田鶴男事務局長は「漁船乗組員確保養成プロジェクトの効果が大きい」と手応えを語る。

 関係省庁の協力や支援を得て、担い手の就労支援や海技士資格取得に向けた対策を進める同プロジェクトは、今年度から水産高校でガイダンスと「フェア」を開催している。吉田事務局長は「全国水産高等学校長協会の協力で担当教諭に趣旨が伝わっていた」と、各校での対応に感謝する。「『マグロ船なんてやめておけ』と、生徒の思いを止める先生もみられなかった」とも話す。

 大きな成果として、漁船漁業の情報を直接、正しく発信し、生徒への意識付けができた点を挙げる。昨年は求人票提出解禁日である7月1日までに、13人が就業について協会に問い合わせをした。「この時期までに2ケタの問い合わせは初めて。年間総受け入れ数に匹敵する」と、変化に驚いた。
地元出身の船員も増加傾向にある。出漁を見送る「出船おくり」は、「気仙沼つばき会」の取り組みで一般の人も参加できるようになり、賑わいを増している。[....]