被災地復興の起爆剤に、第5・第8欣栄丸が竣工

2012年7月18日

がんばる漁業復興支援事業の実証船として、濱幸水産グループが気仙沼の吉田造船鉄工所で建造した2そう引き沖合底引網漁船・第5欣栄丸(75トン)、第8欣栄丸(75トン)が完成し、7月10日、釜石漁港の第二魚市場前で竣工した。晴天の中、大漁旗をはためかす2隻を見ようとする地元の人が多数詰め掛け、白く輝く新船が釜石に笑顔を届けた。2隻は休漁明けの9月から、JF宮古(宮古漁協)が事業主体となり、平成27年度までの3年間、がんばる漁業復興支援事業の実証船として操業する。

第5欣栄丸は濱幸水産(濱川幸雄社長)が、第8欣栄丸は浜幸水産グループの幸栄漁業(濱川幸三社長=濱幸水産専務)が建造した。いずれの欣栄丸も、安全性の向上、省エネ、そして漁獲物の付加価値向上など底引網漁船が抱える課題に正面から向き合い、それの成果を実証することで収益性の改善につながるモデル船になっている。

まずは安全性。竣工式の席で、濱幸水産の専務で幸栄漁業の社長である濱川幸三氏は、「安全操業、そして安全航海のあとに、大漁がついてくる」と、安全第一で操業に従事するよう、乗組員を前に強く語りかけた。そこには「安全操業があってこそ」の漁業という思いが強く働いているのを読み取れる。今回の船にも、その思いが強く反映された。例えば、船型では低重心化や作業甲板を柵で覆うオーニングも施し、現場の実際の作業に対応した安全性の向上を実施。船員の寝室を広げるなど居住環境の改善も行っている。

そして、特に欣栄丸の特徴として注目されるのが、船舶に初めて搭載される新開発の軸発電装置(PWM軸発電)の導入だろう。 [....]