温暖化で「海」はどうなる? IPCC報告書を読み解く

2015年1月1日

20150101_10

 IPCC報告書の執筆に携わった国立環境研究所の野尻幸宏理学博士(地球環境研究センター上級主席研究員、温室効果ガスインベントリオフィスマネージャー)は、「温暖化で種の分布が変わる。さらに水温が低い海域へ移動できない生物は淘汰されるため、生物多様性も低くなる」と話す。ただし漁業生産に対する影響は、2051?2060年の近い将来と、2100年ごろの長期的な将来で大きく様相が異なるという。

 2051?2060年の近い将来においては、「中?高緯度で種の豊かさや潜在的な漁獲可能量が増大する」(野尻博士)。海水温の上昇で、低緯度に生息していた魚が冷たい海水を求めて高緯度に移動するほか、表層の水と中深層の水が上下方向に混ざりやすくなるため(鉛直混合)、表層にいる植物プランクトンに中深層の栄養塩が運ばれて、植物プランクトンの成長を促進。食物連鎖の論理で魚も増えると予測されている。

 中?高緯度で魚が増える半面、「逆に低緯度の熱帯域では、種の豊かさや潜在的な漁獲可能量は減る」とみられている[....]