浮沈イケス比で絶大効果、MFセミナー日東製網が報告

2018年10月18日

フィリピン・サマール島に導入された浮沈式イケス

 マリノフォーラム21(MF21、井貫晴介会長)は16日、水産セミナーを都内で開催。日東製網は国際協力機構(JICA)の災害支援としてフィリピンに導入した浮沈式イケスを紹介し、大型台風の被害を回避できるため、養殖魚の確実な販売につながり、資機材の償却を担保できる、安定した産業への成長に貢献した成果を報告した。
 2013年にフィリピンを直撃した大型台風は、レイテ島で「養殖業が終わった」といわれるほどの被害を出した。同社は、台風時だけ沈めて影響を回避する浮沈式イケスを提案。現地で入手可能な資材と労働力で賄える製品を製作。15年から同島周辺で計52基のイケスを導入した。この間、大型台風がいくつも直撃。従前の資機材の生産者が被害を受け廃業する中でも、浮沈式イケスを導入した漁場は、出荷を続けている。ある漁場では6か月で180トンを販売し4500万円を売り上げた。
 現地指導にも入った同社技術部の細川貴志係長は、9月に最終視察を終え「漁業者だけでイケスを維持管理できている」ことを確認。同国では大手養殖会社から新規事業の提案もされているようで、ビジネスの拡大も予感させた。
 ニチモウは電気刺激を用いて、漁獲物を鎮静化させるシステムの進捗(ちょく)を紹介した。[....]