洋上転載で効率操業、根室・飯作水産の改革サンマ船竣工

2017年9月15日

竣工した大型サンマ棒受網漁船第81北星丸

 飯作水産(根室市)が建造していた大型サンマ棒受網漁船・第81北星丸(199トン)が竣工し、12日に初出漁した。国のもうかる漁業創設支援事業の認定を受けた全さんま地域プロジェクト・落石地区部会の改革計画(事業実施者JF落石漁協で新造され、JF落石漁協が用船。資源減少や漁場の遠隔化など、昨今のサンマ漁業環境に対応した新たな操業体制確立に向けた実証事業を行う。

 「全さんま地域復興協議会」内の調査研究会で検討された、省エネ性を高めた船型(全さんま共通船型)を採用。2月に木戸浦造船(気仙沼市)で着工。建造費は約9億円。日本政策金融公庫札幌支店農林水産事業が7億5000万円を融資した。同支店による大型漁船への融資は5年ぶりという。

 同改革計画の目玉は中型船から大型船への洋上転載。近年のサンマ漁は、漁場が遠方の公海域に形成される傾向。漁船は漁獲ペースが落ち、水揚げ港までの航行に時間がかかるため操業効率が低下。

 同船はフィッシュポンプを搭載するとともに、既存の中型船(飯作水産所有の39トン型船)と連携して中型船が漁獲した漁獲物を転載し同船の一回当たりの水揚げおよび航海数の増加につなげる。

 より船速の速い大型船が操業船かつ運搬船の役割を果たすことで、中型船の漁獲物の運搬を効率化させ、中型船も転載後、漁場で操業を継続できるため、往復の時間が削減される効果も期待される。[....]