日NZ新たな夜明け?マオリとともに/資源管理に転身

2019年6月17日

ニュージーランドの消費者市場は豊富な海の幸が並ぶ

 次世代のために自然や水産資源を守ることに徹してきたニュージーランド(NZ)が次の目標に掲げるのが世界に通じる高品質な製品作りだ。すでに十分高品質とされる同国産の水産物をどう高みへ導こうとしているのか。日本とNZの水産関係者をメンバーとする水産検討会「カ・アワテア会」(マオリ語で「新たな夜明け」の意)の会合が5月に初めてNZで開催されたのを機に、同国の水産業を視察する日本代表団に同行した。より高品質な製品作りにこだわる同国の水産業を紹介する。

 NZ水産業の成り立ちは非常にユニークといえる。資源の乱獲で一度衰退した歴史があり、そこにしっかり向き合った結果、現在のような厳しい資源管理を行う国に見事に転身した。

 1986年に政府は持続的な水産と資源保護を目的に総合的な漁獲管理制度(QMS=クオータ・マネジメント・システム)を導入した。これにより科学的な根拠に基づく魚種ごとの漁獲可能量(TAC)を設定することで漁獲量を制限し、漁業者には過去の実績や能力に応じた譲渡可能な個別割当(ITQ)が配分される。現在、123魚種が商業漁獲対象で、そのうち98種を642の海域魚種資源がQMS管理下にあり、TACCは(全漁獲量の9割以上を占める)約60万トンとなっている。[....]