広がる小型藻場礁「貝藻くん」、小さな生態系を構築

2015年1月5日

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 海洋建設が販売する小型藻場礁「貝藻くん」の導入が全国的に広まってきた。低予算で漁業者自ら取り組むことができるのが大きな特徴で、水産多面的機能発揮対策などの事業を用いて、藻場再生や資源の増大に活用する事例が多い。すでに大きな効果を発揮している地域もあり、漁業者の口コミを中心に活用の幅も広がってきた。「貝藻くん」の導入事例とともに、目に見える形で現れた効果を紹介したい。

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 「貝藻くん」は、その名の通り貝殻を用いて藻類を増殖することを目指して開発された。有機物を取り除いた貝殻をメッシュパイプに詰め、その基質をコンクリートブロックに設置して浅海域などに沈設する。貝殻の基質はすでに魚礁事業などで効果が確認されており、その小型バージョンともいえる製品だ。

 販売開始から約2年が経過するが、昨年11月段階で19道県に採用され、全国で718基が設置された。マップの通り、北海道で119基が導入されたのが最多だが、あとは北陸や四国、九州など西日本での導入事例が多い。特に富山(56基)、愛媛(43基)、山口(50基)、福岡(75基)、熊本(80基)、長崎(82基)などは積極的に取り組んでいることがうかがえる。

 貝殻のもつ効果を改めて説明すると、基質内部に生まれるすき間に餌料生物(ベントス類)や海藻が付着すると同時に稚魚の隠れ場となる。稚魚は大型魚などに捕食される危険を回避しながら付着する生物を捕食することができるため、生残率も向上。この数字は直接的に水産資源の回復につながる。餌料生物が集まる基質の周りには多くの魚も集まり、それを狙って大きな魚も集まる。このような「小さな生態系」が構築されることも特徴の一つ[....]