[987]大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)の年次会合の結果について

2015年2月23日

 去年11月10日から17日まで、イタリアのジェノバにおいて2014年大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)年次会合が開催されました。我が国からは、水産庁、外務省、経済産業省、独立行政法人水産総合研究センター及び漁業関係団体の関係者が出席しました。

 今回は、今年の年次会合の結果のうち、特に注目を集めた大西洋クロマグロの保存管理措置についてご紹介します。大西洋クロマグロについては、近年、漁獲枠の削減、漁獲証明制度の導入など、保存管理措置が強化されてきた結果、資源の回復が確認されてきました。昨年10月のICCAT科学委員会(SCRS)において、大西洋クロマグロの資源評価が行われた結果、東資源については、漁獲可能量(TAC)を約2万3000トンまで増やしても資源の回復に悪影響を与えない、西資源については、TACを2250トンまで増やしても資源は減少しないという管理勧告が出されました。

 これを受け今回の年次会合では、大西洋クロマグロのTAC及び各国・地域の割当量が議論されました。東資源については、最大の割当量を有するEUから3年間で20%ずつTACを増加させ、最終的に約2万3000トンまで増加させるという提案が出されました。

 最終的なTACのレベルについてはほとんど異論が出なかったものの、その増加方法や各国への割当方法について様々な要望が出され、特に割当方法については激しい議論が行われました。

 交渉の結果、過去に多くの漁獲実績を持つアルジェリア、トルコなどにのみ少量の追加枠が設けられ、これを除いた総枠が各国・地域が現在持つ割当比率で配分されることとなり、我が国も、従来通りの割当比率を確保しました。

具体的な漁獲枠は以下の通りです。

(1)東大西洋

 2015年?2017年の3年間のTACについて、以下のように増加することが合意されました。

 2014年:1万3400トン(現行)

 2015年:1万6142トン(対前年2742トン増)

 2016年:1万9296トン(対前年3154トン増)

 2017年:2万3155トン(対前年3859トン増)

※ただし、SCRSからの勧告を踏まえて、毎年のTACは再検討の可能性があります。

 また、日本の割当量は以下のように決定しました。

 2014年:1139.55トン(現行)

 2015年:1345.44トン(対前年205.89トン増)

 2016年:1608.21トン(対前年262.77トン増)

 2017年:1930.88トン(対前年322.67トン増)

(2)西大西洋

 現行1750トン(うち日本の割当は301.64トン)であるTACを、2015年及び2016年の2年間、2000トン(うち日本の割当は345.74トン)に増加することが合意されました。

 次回の年次会合は、2015年11月に地中海のマルタ共和国において開催される予定です。

(水産庁国際課)