回帰年に成長停滞、マスと競合?秋サケ小型化で研究成果

2019年8月14日

ウロコの成長解析結果をもとに秋サケ小型化の要因を説明する中村研究職員

 道総研水産研究本部は7日、札幌市内の道民活動センタービル「かでる2・7」で、2019年度成果発表会を開催し、最新の研究成果13課題を紹介した。さけます・内水面水産試験場は、昨年の秋サケの小型化要因について、ウロコを用いた年齢査定と成長解析の結果から、回帰直前に成長の停滞が起きていた可能性を示唆した。

 同水試さけます資源部の中村太朗研究職員が「サケのサイズは小さくなった? 鱗を用いた年齢査定と成長解析」と題して報告。昨年北海道に来遊したサケは平均体重が3・04キロ(過去5か年平均3・4キロ)と小型化が顕著で、小型の4年魚が8割を占めていたことが大きな要因といえるが、年齢別・雌雄別で比較しても、4年魚と5年魚のメス・オスのいずれも肥満度が低下していた。

 ウロコの年輪幅を調べ、どの時期に成長の停滞が起きたかを解析。4年魚、5年魚とも回帰する前の年までは平均的な成長を示していたが、4年魚は4年目、5年魚は5年目の成長がともに停滞していたことが判明。「最後の年輪が形成されるのはアラスカ湾で越冬する時期だと考えられるため、アラスカ湾から回帰するまでの時期の18年の冬?秋の成長が停滞していたと考えられる」とまとめた。[....]