2018年3月13日
昨年12月3日から7日まで、フィリピンのマニラにおいて中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)第14回年次会合が開催されました。主な結果は以下のとおりです。
◆熱帯マグロ(メバチ・キハダ・カツオ)
現行措置は、2017年で失効するため、翌年以降の措置について、議論が行われ、以下のとおり、2018年の1年間の暫定措置が合意されました。
(1)まき網(熱帯水域)
小型魚を多く漁獲する集魚装置(FAD)を用いた操業の規制について、排他的経済水域(EEZ)内は、4か月から3か月に、公海は12か月から5か月に短縮。一方、公海におけるFAD操業の禁止の対象が、島嶼国がチャーターする船にも拡大、さらにFADの個数制限として、1隻あたり常時350個以下とする規定が新設。公海における操業日数制限の適用範囲が、先進国のみから、島嶼国がチャーターする船にも拡大。従来どおり、島嶼国メンバー以外は大型船の隻数を凍結する規定は継続。
(2)はえ縄
メバチの漁獲枠を15・16年の規制水準とすることが決定(我が国は1万6860トン。17年から1万8265トンに増加)。
◆太平洋クロマグロ
昨年8月に開催された北小委員会の保存管理措置案が、多くの国からの評価する旨の発言とともに、全会一致で採択されました。
※今回採択された保存管理措置
(1)次期回復目標(親魚資源量を歴史的中間値まで回復させた後の目標)現在の目標である「暫定回復目標」を達成した後、10年以内に60%以上の確率で「初期資源量*の20%(約13万トン)」まで資源を回復させる。
(*資源評価上の仮定を用いて、漁業がない場合に資源が理論上どこまで増えるのかを推定した数字。)
(2)長期管理方策の検討
(ア)漁獲制御ルール(資源変動に応じて管理措置を自動的に改訂するルール)
資源評価の結果、「暫定回復目標」の達成確率が、
?60%を下回った場合、60%に戻るよう、管理措置を強化、
?75%を上回った場合、(a)「暫定回復目標」の70%以上を維持し、かつ(b)「次期回復目標」の60%以上を維持する範囲で増枠の検討が可能。
(イ)管理基準値
「目標管理基準値(長期的に維持すべき資源の水準)」及び「限界管理基準値(資源量がこれ以下となった場合、管理措置を強化する水準)」について、18年より議論を開始。
(3)緊急措置(加入の著しい低下が起こった際に緊急的にとられる措置)の作成
(ア)20年まで、資源評価の頻度を2年毎から毎年に変更。
(イ)上記「漁獲制御ルール」を適用することで、迅速な管理措置の改訂により対応。
※なお、18年の措置は、現行措置と同じく、以下のとおり。
(ア)親魚資源量を24年までに、少なくとも60%の確率で歴史的中間値まで回復させることを暫定回復目標とする。
(イ)30キロ未満の小型魚の漁獲量を02?04年の平均水準から半減(我が国は4007トン)。
(ウ)30キロ以上の大型魚の漁獲量を02?04年の平均水準から増加させない(我が国は4882トン)。
次回の年次会合は、2018年12月にミクロネシア連邦で開催される予定です。
(水産庁国際課)