[922]ロシア水域におけるわが国漁業の適正操業の確保について

2012年5月2日

平成22年12月の報道を契機に明るみに出た遠洋底引網漁船(北転船)の過剰漁獲問題を踏まえ、ロシア水域に入漁するほかのわが国漁船についても、違法漁獲が生じていないか調査するとともに、今後、このような問題が生じないように有効な対策を検討することにより、この水域におけるわが国漁業の操業の適正化を図ることを目的として、水産庁内に「ロシア水域における適正操業に関する検討チーム」を設置し、今後の対応策などについての検討を行いました。検討チームは全部で4回の会合を行い、議論の結果などをまとめた報告書を公表しています。

報告書における平成24年以降漁期の取組の概要について紹介します。

  1. 1.操業日誌の記載および保持の義務・・・これまで義務付けられていなかった漁業種類も含め、ロシア水域に入域する全漁業種類に対する義務付けを行います。
  2. 2.操業日誌の保存義務・・・ロシア水域に入域する全漁業種類に対して、漁期終了後3年程度保存することを義務付けます。
  3. 3.操業位置の確認・・・一度の航海においてロシア水域とわが国水域の操業を行う漁業に対し、ロシア水域への入域状況を把握しつつ、水揚げ検査を効果的に実施するため、VMS(船舶位置測定システム)による位置報告またはGPS(全世界的衛星測位システム)の航跡記録の次の出港までの保持を義務付けます。
  4. 4.水揚げ検査・・・港における水揚げの際、市場の検量に立ち会い、または市場が発行 する仕切書から操業日誌などの漁獲量と水揚量の突き合わせ・検証を行います。なお、 検査には多数の人員が必要となることから、操業・流通の実態等を考慮し、限られた 予算および人員の範囲内で効率的な実施を図る必要があります。
  5. 5.仕切書による確認・・・各市場とも仕切書を3年以上保管していることから必要に応じ同仕切書と操業日誌などを照合することにより漁獲量の確認を行います。
  6. 6.ロシア側との協力・・・今後ともロシア水域における適正操業の確保に必要な協力について日ロ間で協議していきます。

今後はこれらの取り組みの実施によりロシア水域におけるわが国漁業の適正な操業を確保してまいります。
(水産庁管理課)