ブリで初の大規模放流調査、輪島沖で水産機構と県など

2019年6月3日

アーカイバルタグを装着したブリ(石川県水産総合センター提供)

 水産研究・教育機構日本海区水産研究所と石川県水産総合センターなどは5月27?31日の5日間、北陸の重要魚種であるブリの回遊生態を探るため、電子標識(アーカイバルタグ=遊泳していた海洋環境の水温や水深を把握できる小型の電子標識で遊泳経路を推定)を装着したブリ147個体を放流した。過去に20?30個体の事例はあるものの、100個体超の大規模調査は初。

 大型定置・曽々木定置網の拠点港・真浦漁港(石川県珠洲市)で30日午前、漁獲されたブリを開腹して腹腔(こう)内にアーカイバルタグを埋め込み、沖合2キロの海上に運んで放流する様子が報道陣に公開された。最終日までにブリ(体重5?8キロ台)47個体、ガンド(2?3キロ台)50個体、フクラギ(1キロ弱)50個体の計147個体を放流した。

 ブリは漁獲可能量(TAC)対象魚種ではないが、近年は来遊量が不安定で、北陸地方の定置網漁業者は資源動向に危機感を募らせている。大規模放流調査でブリの生態がより詳細になれば、資源推定や資源保護をさらに高度化する新たな知見が期待できる。今回は、水産庁からの委託事業「水産資源調査・評価推進委託事業」の一部として実施。曽々木定置網が所属している石川県定置漁業協会が協力した。[....]