ジャパンスタンダード/クロアチアで挑戦?/鮮度が命

2018年4月17日

静かに作業現場を見守る森若顧問(左)の姿がある

 ジェイトレーディング(神戸治郎社長)が2015年に買収したカリ・ツナ社は、創業1996年。クロアチアの中でも最も歴史が古く、国内全生産量の半分近くを同社が生産し、国の基幹産業を担う重要な存在となっている。カリ・ツナ社がウグリャン島沖に設置する蓄養イケスは直径50メートルの円形イケスが約20基。水深が深く、水温が一年を通して安定しているほか、自然の防波堤になっている島が多くあるおかげで、蓄養には最適な場所といえる。

 水揚げ作業が始まると、イケスにはダイバー12人が中に入り、暴れてマグロの身に焼けが起きないように慎重にネットをたぐり寄せながら、水揚げするための捕獲の準備を進める。ダイバーの1人に抱えられて捕獲されたマグロは水揚げされ、活〆、神経抜き、一次処理の一連の作業が目を見張る速さで進められていく。その間、約2?3分程度。

 その脇で静かに見守る日本人の姿がある。ジェイトレーディング顧問、森若良三氏だ。元築地魚市場?の常務で、マグロ取引の大ベテラン。クロアチアでは現場に入ってマグロの扱いを指導してきた。

 「いかにスピーディーに処理しなくてはいけないか、鮮度が命であるかを身振り手振りで伝えると、意外に思いは伝わるもの。3年近く現場にいるが、みんなよくやってくれていると思うよ」と森若流“ジャパンスタンダード”への理解が深まっていると実感しているようだった。[....]