「見える防潮壁SEAWALL(シーウォール)」が注目

2019年8月20日

防潮堤のシーウォールを通して漁船が停泊する漁港がくっきり見える

 「防潮堤だらけの海岸を見ると、まるで刑務所の塀のよう。全く殺風景だ」。こんな声を漁村で聞く。東日本大震災の津波被害で岩手、宮城、福島など3県を中心に、全国で防潮堤の見直しや改修が行われている。近い将来起こるであろう南海、東南海巨大地震への備えもある。

 命を守るためのこうした施設は景観が二の次にされがちだが、漁港も今後はコミュニティータウンの中心施設に、との要望が強まっている現在、災害予防と景観の両方を兼ね備えた「見える防潮壁SEAWALL(シーウォール)」が注目されている。

 住友化学、阪和興業、日プラなど民間企業9社でつくるシーウォール推進協議会(喜田敏雄会長)が開発したシーウォールは、美しさと安全を共存させている構造で、すでに実績を上げている。今後、建設が予定される防潮堤にもぜひ組み込みたい窓だ。防潮堤の壁に、大きさ自在の、ガラスをしのぐといわれる高い透明度をもつアクリル窓を設けることで、陸側からでも海がくっきり見える構造。災害が起きると水産関係者は海の状況を見に行きたがるが、防潮堤に守られながら海の様子や漁船の安全確認、逃げ遅れた人の確保などが可能となる。[....]