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PM2・5大気から海に栄養、海洋研究開発機構が報告

2019年5月7日

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海洋表層における栄養塩の供給課程

 魚類など海洋生物の基礎生産を担う植物プランクトンの増大と、微小粒子状物質(PM2・5)に密接な関係があることが、4月に開かれた海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究報告会で発表された。PM2・5に植物プランクトンに不可欠な栄養塩(窒素化合物)が多く含まれるためだ。

 大気汚染物質のPM2・5は、成分を解析すると硝酸塩やアンモニウムといった窒素化合物が多くの割合を占める。東アジアの経済発展の代償として大気環境を悪化させ、人間に健康被害をもたらす厄介物という印象が強いが、植物プランクトンの増大には価値の高い栄養素だ。

 大気化学領域輸送と海洋低次生態系の両モデルを結合し数値計算評価。東アジア域から排出された大気物質が海洋へ沈着する過程を導き出すと、日本南方の西部北太平洋亜熱帯域まで輸送されていた。

 この海域は生物生産の乏しい“海の砂漠”ともいわれる。しかし、大気から供給される窒素化合物によって、表層のプランクトン量が年平均で2・3倍も増加していたことが分かった。栄養塩の乏しい海域では大気由来の窒素化合物が強く影響して、海洋生態系の変動に貢献する結果となった。竹谷文一主任研究員は、「大気物質と海洋生態系の直接的な関連性を初めて明らかにした」と解説する。[....]