<魚食にっぽん[73]>魚は〆て何日後がおいしいか

2017年2月27日

上から〆た当日、翌日、2日目の焼きマダイ。鮮度がよいものは身が反った
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上から〆た当日、翌日、2日目の焼きマダイ。鮮度がよいものは身が反った

 魚を活〆したあと、何日目がいちばんおいしいか。科学的にうま味成分が最大値にあっても、「おいしい」とは歯応えや舌ざわり、香り、見た目ほか、食べる人の年齢や土地の文化など多くの要素が影響する。とはいえ実際に鮮度が異なる同種の刺身を食べ比べると、どんな違いを感じるだろうか。
 東京・台東区の華調理製菓専門学校で昨年11月、同校の生徒を対象に鮮度が異なる魚を食べ比べ、身質の違いを比較・検討する実習が行われた。用いたのは愛媛・愛南町で養殖されたマダイで、活魚車で東京の大田市場へ輸送、同市場で脱血処理。条件は全く同じ。違うのは〆てからの時間だけだ。
 〆た当日と翌日、2日後の3つはどれも背側を刺身にした。見た目や香り、脂の乗り、食感、味から評価してみる。利き酒ならぬ「利きタイ」だ。
 結論からいうと、約130人の料理人の卵が参加した試みは、それぞれに感想が異なった。〆たてが「硬い」と感じる人も「歯応えがある」と感じる人もいる。見た目の優劣もつけがたい。
 とはいえ明確な違いもあった。加熱調理した場合だ。3つのマダイを焼くと、〆た当日の切身が大きく反り返った。ただし、焼くとふわふわと身がほぐれ、冷めても硬くなりにくい。刺身で感じた強い歯応えとは全く違う。愛南町水産課の兵頭重徳課長補佐は、この状態を地元で「ハゼる」と言い、「鮮度がよくおいしい証し」と話す。一般的に高鮮度品は刺身にして、やや古くなると加熱料理に用いるのが一尾まるごと上手に使うコツといわれるが、その発想では出会えない味だ。[....]