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<震災から8年>描く未来像/石巻市十三浜の「浜人」

2019年3月11日

ワカメの生産現場で海域の特徴を伝える阿部理事(右)

 宮城県石巻市十三浜の漁業生産組合「浜人(はまんと)」は、養殖ワカメのさまざまな性格を、消費者の「おいしい」の感覚と照らし合わせて、十三浜の名前で販路を拡大している。

 養殖ワカメを生産する浜人の阿部勝太理事は、この言葉を生産者の誇りや情熱だと流さず、「十三浜のワカメは製品としてどこがよいか」「どうすれば選ばれるか」の視点で考えた。おいしさの基準の一つに常に満足できる味を掲げる。安定した味を加工品のように、生鮮品でもできないかという発想だ。

 東日本大震災は、十三浜にも壊滅的な被害を与えた。借金をしてまで、漁業を再開するだけの気力をもてなかったベテラン漁業者もいた。2011年10月、漁業生産組合を設立。4つの家族経営体が労働力を集約し、限られた船や資材で十三浜の漁業を存続させる道を探った。再出発に際して強みを確認して「誰に」と「どの特徴を喜んでもらえるか」に結び付ける作業を行うことにした。

 豊富なミネラル分が流れ込む北上川の河口に、荒々しい外洋の潮流の刺激を受ける漁場では、肉厚で身の引き締まったワカメが育つ。だが種選びや、わずかな漁場の違いと深度、飼育密度、飼育期間で、出来上がるワカメの質は異なることが経験則で分かっていた。

「等級でなく用途」という視点に立った。浜が定義する一級に合わせるよりも、個性あるワカメを育て「食べた人に『おいしい』と言ってもらえるものこそ、一級品」との考えにたどり着いた。[....]