養殖餌にハエのタンパク、ベンチャー企業と愛媛大開発

2017年12月21日

 養殖魚の餌として欠かせないが供給が不安定な魚粉に代わるタンパクとして、ハエの幼虫を提案する企業がある。?ムスカ(福岡市、串間充崇社長)は19日、45年間の研究の成果としてイエバエの高速培養技術を確立し、今年度中の実用化のめどが付いたと発表した。「魚粉を5%下回る価格での生産が可能な見通しがつき、耐病性効果などが見込める高い機能性を付与できる」と自信をみせる。

 同社は投資会社などからの出資を受け、来年度中には大型実証プラントを建設予定。新工場ではセミオートメーション化を目指し、一日100トン程度の原料を受け入れて、飼料の出荷価格を魚粉価格以下に引き下げることを目指す。愛媛大学などとの共同研究の結果、養殖飼料の魚粉を5%程度置き換えると耐病性効果や誘引効果、増体効果などが証明されており、国内特許を取得。国際特許も出願している。養殖マダイの実験ではハエを5%程度含有した飼料の方が40%高い増体効果を示した。

 イエバエの餌となるのは、畜産の糞(ふん)尿。イエバエの卵をまいて、1週間ほどで幼虫として収穫できるようになる。餌にしていた畜糞は完熟堆肥として販売が可能になる。畜糞を原料とするが、同社は「菌や重金属などできる検査はすべて行い欧州の基準でも安全だと確認できた」と断言する。[....]