躍進する福岡の水産業⑤/筑後川のエツと川茸次世代に

2017年7月4日

川茸の自生地を守りたいと話す、ノリ加工の老舗・遠藤金川堂の遠藤淳社長

川茸の自生地を守りたいと話す、ノリ加工の老舗・遠藤金川堂の遠藤淳社長

 福岡県には九州で最も長い筑後川のほか河川も多く、内水面漁業も盛んに行われている。筑後川では観光資源にもなっているエツの資源回復に取り組んでいるほか、朝倉市を流れる黄金川では清流でしか育たない淡水ノリのスイゼンジノリ(川茸〈かわたけ〉)の保全に向けた取り組みが行われている。

 エツはカタクチイワシ科で、日本では有明海と筑後川、六角川のみで生息。福岡県の流し刺網の漁獲は1970年代に100トンあったが、95年に20トン台まで落ち込んだ。今や幻の魚になりつつある。産卵場所が半減。さらに複数県にまたがる海で混獲され、管理は混迷を極めた。「言い分はあるが、資源を守ることが大切」と増殖と放流事業を行う下筑後川漁協の原口勝良組合長は訴える。

 内水面漁業者が92年に受精卵放流を開始。漁協は「家庭ふ化マニュアル」を作成し組合員に配布。自宅でふ化させ漁協の施設で放流サイズまで育成。現在では、年間10万尾以上を放流している。

 きれいな水がないと育たない川茸は朝倉市を流れる黄金川でしか自生しない希少なノリ。近年、気候の変動など環境の変化により川茸の収穫量が激減。県の内水面研究所が元種を育て、川床を整備、ノリ網を設置、葉体を採集する網の増設など、増殖効果を高める取り組みを行っている。[....]