福岡アサリ稚貝育成に効率的装置開発、試験販売で高値

2017年3月7日

干潟に設置されたアサリ稚貝育成用網袋

 福岡県は平成27年末に特許を取得したアサリ稚貝の育成装置「かぐや」で資源回復に向けた取り組みを進めている。「かぐや」により、稚貝の育成期間、生産コストともに大幅な削減が可能となり、県はアサリ漁業の活性化につなげたいと意欲をみせている。

 同県のアサリ漁業は近年、ナルトビエイの食害や波浪による流失などが原因で衰退し、7000トン近くあった資源は、26年には99トンにまで減少している。このため県水産海洋技術センター豊前海研究所が、波よけの竹の中で育つアサリをヒントに、省力・省コスト型の育成装置を23年に開発。通称「かぐや」として翌年から生産者と共同で実証試験を開始した。

 現在は岸壁から吊(つ)り下げる方式に変更。潮の干満差で海水が自動的に入れ替わり、餌の植物プランクトンが供給され装置内で保護されることで外敵からの食害を受けずにアサリが育成できる。陸上水槽で0・5ミリに育てた稚貝を「かぐや」に入れると、約2か月で1センチにまで成長する。

 従来の陸上水槽を使った方法と比較すると、育成期間は6分の1、生産コストは種苗単価一個当たり0・1円と、全国トップレベルを実証。飼育期間の短縮と生産コストの削減を可能にした。

 豊前海では「かぐや」で育てた稚貝を砂利の入った網袋に入れ、3センチの商品サイズまで育てる試験を現在行っている。27年8月に試験的に市場出荷したところ、市場平均価格よりもキロ200円高く取引された。その後も試験的な販売は春、夏と行われている。[....]