水素漁船開発へ、水産機構が五島で地産地消エネルギー

2019年3月5日

 水産研究・教育機構(宮原正典理事長)は、化石燃料を使わない「水素燃料電池漁船」をトヨタ自動車などの協力を得て開発する。マグロ養殖場で使う作業船に導入する計画で、2019年度に設計を開始し、21年度に試験船の建造を開始する。二酸化炭素(CO2)の排出削減に貢献するとともに、再生可能エネルギーの地産池消による離島・沿海地域の再生を図る。

 水産機構は15年度から長崎県五島市をモデル地域とする「五島市離島漁業振興策研究会」を設立。長崎県、五島市、JF五島ふくえ漁協、JF五島漁協、JF奈留町漁協、海上技術安全研究所、トヨタ自動車、豊田通商、戸田建設、海洋水産システム協会、水産庁、環境省、国土交通省とともに、水素燃料電池漁船の導入の可能性や五島地域の漁業振興策を検討してきた。

 五島列島沖には洋上風力発電所が建造されているが、季節的に不安定な供給であることや蓄電できないことが難点となっている。そこで洋上風力発電の電気を活用して水を分解し水素を製造・貯蔵すれば、その水素で再び電気をつくれることから、水素燃料電池を漁船などに導入する発想が生まれた。

 地元でつくったエネルギーを活用した水素漁船が実現すれば、燃油価格の変動に影響を受けないだけでなく、離島の大きなハンディキャップである高い輸送コストも軽減できる。[....]