[1074]日本の国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退をめぐる経緯について①

2019年3月13日

 昨年12月末、政府は国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退を決定し、国の意思を寄託国(米国)に伝えました。1988年以来30年間続いたIWC内の捕鯨国・反捕鯨国間の不毛な議論に終止符をうち、今年7月から、国連海洋法条約の下で、自国200カイリ内で資源の健全な鯨種を対象にして科学的根拠に基づいた「持続的捕鯨」を再開します。

 IWC離脱の意思は、菅義偉官房長官が発表、関係各国に伝えられました。また、IWCから離脱するものの、日本が長年貢献してきたIWC科学委員会との協力は継続し、従来通りのデータの提供も行います。

 IWC総会にもオブザーバーとして参加する意思を表明しました。一方、豪州、ニュージーランドなどが反発してきた、南極海での捕獲を伴う科学調査(調査捕鯨)を中止し、非致死的調査(目視調査・バイオプシー調査など)は引き続き行う方針です。

 政府発表は、昨年9月ブラジルで行われたIWC総会での議論を踏まえたものです。IWCは、2007年のアンカレッジ総会以来、捕鯨国と反捕鯨国との2極対立による「機能不全」を解消する試みを模索してきました。

 価値観は違っても国際捕鯨取締条約(ICRW)の目的(鯨類資源の適切な保存と捕鯨産業の秩序ある発展)を実現するため、IWC本来の機能である鯨種ごとの資源把握と捕獲枠算出の枠組づくりに向け努力が重ねられました。

 このIWC改革は、2007年のホガース議長(米国)の主導で国際法の専門家であるチリのマキエラ氏を招き、主要国が参加するスモールグループを核に議長提案として取りまとめるものでしたが、結局妥協案は「商業捕鯨絶対反対」を国是とする強硬な反捕鯨国の反対により、2010年のアガデイール総会で棚上げになりました。

 日本は、その後も粘り強くIWC改革に取り組み、昨年のブラジル総会では「価値観は違っても同じ屋根(法)の下に同居できる方式」を提案しました。

 しかし、この最終案も単純過半数で否決されたため、日本はIWCの機能修復は不能と判断し、自国の主権の及ぶ範囲で、法的にも科学的にも公正で持続可能な捕鯨の再開を選択するに至りました。

(水産経済新聞社)