シラスウナギ海流変動で来遊減、海洋研究開発機構発表

2018年4月16日

ニホンウナギの一生 (水産庁公開資料から)

 ニホンウナギのシラスウナギ漁の長期的減少で、要因の一つに数えられていた海流変動の影響をまとめた研究成果を12日、海洋研究開発機構が発表した。1993年から2013年の約20年の海流変動は、日本へ来遊するシラスウナギの数を継続的に減らす方向で働いていたことが分かった。
 日本など東アジア地域の河川や汽水域で8歳前後まで成長したニホンウナギは、日本列島からはるか南のマリアナ諸島西方まで遊泳して産卵する。5?7月に誕生した仔稚魚は遊泳する力をもたないため、海流に乗るに任せて移動。晩秋?翌春にかけて日本列島付近に来遊する。最初は北赤道海流とともに西進し、フィリピンの東で黒潮に乗り換えて北上するコースを取るとされている。
 北赤道海流が南側に移動することで、黒潮ではなくミンダナオ海流側に南下する仔稚魚が増加し、黒潮側に北上する仔稚魚が少なくなる現象については知られていた。
 同機構は日本大学の研究グループと共同で、海流予測モデルを用いて過去20年の海流変動を再現。繁殖場であるマリアナ諸島西方の海山域で毎年一定量の産卵が行われると仮定し、日本に至る各海域へ移動する個体数の推移を調べた。その結果、近年の日本と台湾近海でのシラスウナギ採捕量の推移と同様、個体数は長期的な減少傾向。特に最初の5年間と最後の5年間の平均に大きな違いが生じた。[....]