水経セミナー

[18]なにか変だよ検討会

2014年7月9日

 水産庁主催の「資源管理のあり方検討会」にIQ、ITQの導入に反対の立場から、参考人として出席した。正直、この検討会は「なにか変」の連続であった。まず、この問題はすでに決着がついているのに、なんで今さら水産庁が検討課題に揚げるのか「なにか変」。

 というのは、日本漁業の特徴でもある、共同体による自主的資源管理は、IQ、ITQよりも優れていることを明らかにした学者にはノーベル経済学賞が与えられ、世界的権威の資源管理学者も同様の論文を科学雑誌ネイチャーに発表しているから。

 ところが、その推進派の委員や参考人は、これらの事実を全く無視し、「わが国にはIQ、ITQが不可欠」などと発言していた。これは世界の常識を覆す大変な珍説であり、今度は彼らがノーベル賞を狙っているのではないかと思うほどの「なにか変」。

 いちばんの「なにか変」は、資源管理とは縁もゆかりもなさそうな多くのメディア関係者が傍聴席にいたこと。その中に、首をかしげたくなるような内容の素人向けの漁業批判の記事を、繰り返し掲載している一般向け雑誌社がいて、ピーンときた。この検討会は、推進派にとって、メディア向けの「ショー」なのである。

 これは、真っ赤な嘘をも平然と世界にたれ流し、それを事実にしてしまう、シー・シェパードのポール・ワトソンの見事なまでのメディア操作にも似ている。彼は、著書でメディア操作のコツを語っており、「メディアは、事実、数字、統計値、科学的報告書に関心をもたない。彼らはドラマ、ストーリーを望む」としている。既得権益にどっぷりつかった農業や漁業を、改革派がたたくというドラマで読者の関心を引こうとするメディアにとって、「日本の資源管理手法がいちばん優れている」では困る。また、ワトソンは「自分の目的に沿わない質問は無視せよ。言いたいことだけを述べよ」とも言っている。

 だから検討会で、多くの委員が問題点を指摘しても、なんら答えることはせず、水産庁の外国における実態調査結果にはケチをつけたのか。資源管理をネタにする困った人たちである。